インハウスSEOやコンティンツマーケティングのスタッフに求められる素質
2015/02/25カテゴリー:海外SEO記事
あなたが今、SEO対策やコンテンツマーケティングを社内でインハウス化したいと考えているならこの記事をお読み下さい。
SEOやコンテンツマーケティング、ひいてはWEBマーケティングに従事する人材に必要な素質や、面接・採用にあたって企業側がするべき事、考えるべきことを、2006年からアメリカでSEOコンサルタント、講師を続けているRuth Burr Reedyさんが解説します。
※英文元記事はコチラ
この記事の目次
SEOスタッフの採用について。未経験や、経験の浅い人材を見つけ、雇うには?
SEOは売り市場。SEOのための人材を数ヶ月にわたって探していた人ならわかると思いますが、最近では、SEO経験のある人材の供給量は、検索エンジンマーケティング対策への需要に対して不足しています。シアトル、ロサンゼルス、ニューヨーク、それからオースティンのような技術の発達した大都市であっても、SEOスタッフというのは数少ないものなのです。あまり技術の浸透していない、地方の市場でSEO経験者を探すなんて、1〜2年の時間があったって、ユニコーンを探すくらい至難の業なんです。
もし、あなたがインハウスSEOのために主任スタッフを雇いたいのなら、ヒーローを待つしかないでしょう。
もし、あなたがデジタルマーケッターを抱える組織や大きなインハウスチームを育てようとしているSEOスタッフなら、時にはデジタルマーケティングの経験がなくとも、ポテンシャルの感じられる人間を雇って、鍛えたほうが良い場合もあります。
しかしながら、誰でもかれでもSEOの仕事を与えてオシマイ、ではなく、正しく鍛えて、本人がその仕事を楽しんでくれたり、成果を上げてもらわなければなりません。デジタルマーケティングの成功のためには、確かな技術と、才能と、性格の特性が必要なのです。
SEOスタッフの採用における最大のアドバイスは、その人材の技術を明らかにすること、それからその人材がスパマーでない事をしっかり確かめる事です。とはいえ、研修生レベルの人材でもふさわしくありません。
では、SEOという、彼らがやったことない仕事のために適切かどうかを、どうやって見分ければ良いのでしょうか?原文筆者の会社では、若くて優秀な人材を沢山採用し、彼らをデジタルマーケッターとして育て上げることに幾度なく成功してきました。候補者に対して、チェックポイントがあるのです。
向上心があり、自主勉強をする人か?
SEOで成功している人や企業は、「勉強」の連続に多くの時間を費やしています。ーブログを読んだり、カンファレンスやウェビナーに参加したり、新しい技術について議論したりテストしたり…。このような「勉強」は、通常勤務の時間外に発生する事が多いです。採用応募者は、勉強好きで、自分で継続して教育を受ける能力のある人物でなければなりません。
応募者に、新しいスキルをすぐに身につけなければならなかった時の事を質問してみてください。その時、勉強のために何をしたか?それはどうだったか?その答えが出てこないのであれば、そういう状況になったらどうしたいか、と聞いてみてください。
私はいつも、採用応募者がどれくらい面接準備をしてくるかを見るのが楽しみです。なぜなら、彼らがどれくらいこの仕事に本気かどうかがわかるからです。
この面接のために、どんな準備をしたか質問してみましょう。会社のサイトは見たか?デジタルマーケティング関連の情報を探してきているか?そこで何を学んだか?どこで学んだか?どうやって見つけたのか?
応募者には、面接前に宿題を出しておきましょう。Googleの検索エンジン最適化スタートガイド(PDF)などを読ませたり。(英語原文では、ここにSEOの基礎を学ぶ学習サイトのリンクがありましたが、英語サイトなので割愛します。)
ちゃんと宿題をやってくれるでしょうか?一番重要なのは、何を学んだでしょうか?この宿題から、こんな事がわかります:
SEOについての初歩的知識と、SEOの必要性が理解できたか?
私はこれまで、たくさんの人が、SEOの勉強につまずくのを見てきました。最初の1〜2年目は楽しんで取り組むのですが、その後燃え尽きてしまうのです。私の経験で言えば、SEOの「燃え尽き」「リタイア」の理由で最も多いのが、古い戦術から新しい戦術への切り替えが出来ないからです。この失敗は、SEOの「本質」の理解が不足している事が原因です。(つまりSEOとはマーケティングであり、サイトと、それを探しているユーザーを結びつけるための行為であるという事。)
自分が習得した手法や、かつてはうまくいっていた手法が、干からびてダメになってしまった時は確かに辛いです。(ページランク操作とかね。)もしあなたが、潜在顧客の獲得とつながりの機会を持つためにこんな技術を使おう、という視点ではなく、こんなトリックや手法で検索順位1位を取ろう、という事ばかり考えているなら、早かれ遅かれあなたはズッコケて、引きずり降ろされますよ。
こんな質問をしてみてください。リサーチから何を得られましたか?完全に検索エンジンについてフォーカスしているか、訪問客を利益に結びつける事を考えているのか?ハッカーになりたいのか、マーケッターになりたいのか?
検索エンジンを思いのままに操作する事ができる、という事に夢中になってしまう人もいます。私は、そんな事よりも、インターネットをビジネスと顧客をマッチングさせるための”ツール”としてどう扱えるかを考えられる人を探しているんです。だって極論、SEOのクライアントは検索上位が欲しいんじゃなくて、本当に欲しいのは利益ですから。
他に私が応募者に求める特性といえば、「共感能力」ですね。企業が検索エンジン対策に投資する理由を明確に表現する事ができるかどうか。「小規模のビジネスオーナーが、スタートアップ時、ネットを使ったマーケティングにどんな恐れや心配を抱くか」について質問するのです。これ、クライアント相手の仕事をするときには特に重要なんです。コミュニケーションの成功とは、クライアントの目標や心配事を理解せずしてあり得ません。
ライティングができる人材か?
人材をSEO技術者として育てたい。別にコンテンツ・クリエーターに育てたいわけじゃない。もしそうだとしても、SEOというのはライティング能力が求められるものなのです。ページ制作をする際は、ページの要素を検索エンジン向けに設計するだけでなく、ユーザーにもアピールできるようなものを制作しなくてはなりません。
言うまでもありませんが、私の経験では絶対にしません。応募者の履歴書には、タイプミスや文法ミスがあってはならないのです。これは文章力を測るバロメーターとしてだけではなく、細部まで気を使える人間かどうか、真剣に仕事に取り組む人間かどうかを測る上でも重要なのです。
ライティングに関する経験はどんなものであれ、私にとって履歴書上でプラスに働きますが、べつに絶対必要というわけではありません。その人のキャパシティを知るのにいい手がかりになるなという具合です。サンプルで何か文章を書かせてみましょう。さらに、ウェブ上でその人材が書いた文章を探してみるのです。ブログをやっていた事はある?
面接前に応募者とはメールのやりとりを行なっていたはずですが、メール上でのお作法もしっかりチェックしてください。メールの上で何を言っているのかわからない、なんて事はないか?優れたライティングとは、文法うんぬんの話ではなく、コミュニケーション・スキルの事なのです。
クリティカル・シンキングができるか? データ解析能力はあるか?
新人WEBマーケッターは、おそらくGoogleアナリティクスのようなアクセス解析ツールを使ったことがないでしょう。それでイイんです!
ツールの使い方なんて、教育してあげればいいんですから。本当に難しいのは、批判的に考える能力(クリティカル・シンキング)と、データを活用して決断を下す能力です。
応募者はこれまで、次に踏むステップを判断するために、データを使う事が必要なシチュエーションにあったことがあるか?その話の主張に裏付けはあるか?心を動かすものか?いまの大卒生は、専攻に関係なくこの経験をしておくべきです。クリティカル・シンキングとデータ解析。これこそが大学で学ぶべき事でしょう。
エクセルは使いこなせる?別にエクセル大好き人間じゃなくてもいいんですが、もし大嫌いっていうレベルなら、おそらくSEOの仕事は向いてません。そんな人が、スプレッドシートに一日中向き合ってるなんて、惨めな話でしょう?
その人材は、Webの住人か?
SEOという言葉を聞いたことがないような人でも、ネットに慣れている人なら飲み込みは早いでしょう。Web上に「存在」しているかどうかというのも、Webに対する一般的な興味関心の現れです。Webマーケティングに長期的に取り組める人材かどうかを測るバロメーターにもなります。ちょっと偵察してみましょう。応募者のSNSのアカウントはアクティブか?ブログはやっているか?Googleで名前を検索したら何が上がってくるか?
前職は何か?
応募者それぞれ、違うバックグラウンドがあります。そしてあなたが探している役職にどんなスキルが必要か考えるわけです。私が履歴書に目を通すときは、次のようなサインを探します:
- マーケティング
- 広告
- 広報
- APIs(アプリ制作)
- Webディベロッパー、コーディングなど
- Webデザイン
- コピーライティング
道のりは多岐に渡る
ここまで述べた内容のすべてにおいて優れた人材というのは、極めて限られていると思います。誰でも、それぞれ突出して強い分野というものがあります。
Webマーケティングには、異なる様々な素質が求められますが、仕事をする上であなたがその人を「好き」であるという事を忘れずに。たとえば、ライティングでのコミュニケーション能力は、社内でやりとりする分にはそこまで重要ではありませんから。
少なくとも、賢くて、Webマーケティングのキャリアを築けるチャンスに巡り会えたことに喜び、その情熱に突き動かされるようなタイプの人材を探して下さい。(支払日の事を気にしているような人ではなく、ね。)
未経験者を採用する事はリスクです。採用してみたはいいけど、SEOに全然向いてないかもしれない。期待していたほどでもなく、成長が遅いかもしれないし、彼らも採用されてみてから、SEOって長い目で見て自分のやりたい仕事じゃないなぁなんて思い始めるかもしれない。
一方で、社風に合って、学習意欲のある未経験者を採用して教育するのは、たいていの場合、チームと噛み合っていない経験者よりもよっぽど伸びます。さらに、誰かにSEO対策について教育するというのは、クライアントをリスクに晒すような粗悪な対策をさせないためにも最適の方法です。
そして何よりも、あなたが誰かにキャリアを明け渡し、その人が世界レベルのマーケッターに成長していく様を見届けるのは…何事にも変えられません。
※本記事は、2015年2月18日にMozに掲載された記事”Hiring for SEO: How to Find and Hire Someone with Little or No Experience”を、SEO Scene独自に翻訳したものです。
まとめ
企業のインハウスSEOのためであっても、Web制作会社やWebマーケティング会社のSEO事業のためであっても、SEOに向いている人間というのは以下の素質や特性が必要であるということですね:
- 勉強熱心で、向上心がある
- とにかくWebが好き
- ライティング能力がある
- クリティカル・シンキングができる
- データ解析ができる
- Webの住人である
- 仕事を楽しんでくれる
実は僕自身、今でこそこんなふうにSEO対策やWebマーケティングについてのブログを書いて、起業までしてしまいましたが、ほんの数年前に始めたころは「SEO」の言葉の意味がわからず、 「CEO」か何かかと勘違いしていたようなレベルでした。(マジ)
でもとにかくWebが好きで、中学生の頃から仲間内でホームページを作ったりブログを書いて友達作りをして遊んでいたので、すぐに吸収する事ができました。
たしかにSEOというものを仕事にするには、ライティング能力やデータ解析能力が求められます。この二つはモロ文系的思考と理系的思考で相反しまくってると思うのですが、両方できないとダメです。僕は文系なので文章を読んだり書いたりは好きですが、所詮文系なので、学生の頃もっと理系科目をまじめに勉強しておけばよかったなぁと後悔しています。
また、「Webの住人である」かどうかというのは、翻訳作業をしながら思わず同意していしまいました。
Web業界の仕事、特にクリエイティブやマーケティングの仕事に従事していながら当の本人が「Web上に存在していない」というのはおかしな話だと常々思っています。
野球場に現れない野球選手、厨房に現れない料理人のようなものなのではないでしょうか?
Web業界での「現場」は、やはりWebなのです。
現場に存在しない人間に、僕たちは用はないのです。
優れたクリエーターやマーケッターはWeb上に自分の分身を作っているように思います。
今回はSEOスタッフ採用のための考察ですが、通常の人材採用でも応募者のFacebookアカウントなどをチェックする時代ですよね。
応募者について調べれるものはやはり調べておきたいですよね。
いやぁ、便利な時代というか、怖い時代というか…(笑)
さて本記事では、「意欲があれば、未経験者であっても構わない。教育すればよいのだから」という事でしたが、そもそも教育できる先輩社員がいる前提の話ですね。
もし、直接教育できない環境であるなら、セミナー、勉強会や書籍など、考えられる教育リソースは惜しみなく与えて、1人でもある程度学べる環境を作ってあげるのが会社の役目かと思います。
SEOやマーケティングは仮説と検証の繰り返しです。それさえできれば、未経験者であってもぐんぐん成長すると思います。WEBが好きならね!
コンテンツマーケティングに適した人材とは?
では昨今すっかりトレンドとなっているコンテンツマーケティングの場合はどうでしょうか。
コンテンツマーケティングのサービスプロバイダーも急増していますが、こちらもインハウスで施策を進める企業も沢山あるように感じます。
僕は、コンテンツマーケティングにおいて必要な素質は2つあると考えています。
「企画力」と「継続力」です。
企画力
コンテンツマーケティングは企画が命です。コンテンツと企画は同線上にあるといっても過言ではありません。
ひとつのテーマに対して、どれだけユニークな切り口でコンテンツを企画できるか?という事です。
企画力とはつまりアイデア力です。
アイデアはインスピレーションからやって来ます。
インスピレーションは、インプットの数と質に比例すると思います。
このインプットは、WEBマーケティングの知識や技術に限ったものでなく、
本を読んだり、映画、音楽、絵画などの芸術に触れたり、旅行に行ったり人に会ったりと、日常の様々な場面で得られる刺激や感性のことです。
そういった様々なインプットから引き出しが増え、インスピレーションがアイデアを起こし、企画というものにつながってくるのだと思います。
コンテンツマーケティングに適している人材に求められる素質のひとつは、企画力、紐解けばどれだけ日常からインプット量を増やす事を心がけているか?そのアンテナをちゃんと張っているか?というものです。
継続力
この業界でよく言われる言葉があります。
「WEBで成功する人とは、やめない人である」
正にその通りです。
SEOだろうがコンテンツマーケティングだろうがWEBマーケティングだろうが、短期間で目立った効果を期待してはいけません。
中〜長期的にじっくり取り組むべきものなのです。
ところが少しやってみて、ほんの3ヶ月ほどで効果が出ないからと投げ出してしまう人もいます。
WEBでの「成功」とは、その先の、もうひとつ先にある事が多いです。
これまで、こうしてブログを運営したり、サイトを制作したりしましたが、はじめの数ヶ月は悲しくなるくらい反響がありません。
何も返ってこない暗闇に向けてボールを投げ続けるような感覚です。
そこで諦めず、継続して取り組み続ければ、ある日ちゃんとボールは返ってきます。
たとえ反応がなくとも、すぐに諦めず、粘り強くやり続ける精神力。コンテンツマーケティングに適している人材に求められる素質のもうひとつは「継続力」だと思います。