GOODAとGOETHEに見る、検索エンジンとユーザーに「読まれる」コンテンツ発想とは
2014/07/28カテゴリー:SEO対策コラム
今日は、GOODAとGOETHという、ふたつのファッション系ウェブマガジンを取り上げ、どちらがSEO上最適かを考察します。
さらにふたつのコンテンツを通じ、価値あるコンテンツ制作に必要な発想、
検索エンジンとユーザーの両方に「読まれる」コンテンツについても考えてみます。
この記事の目次
GOODAはココがすごい
まず、GOODA(グーダ)とは、楽天が運営するウェブマガジン。ターゲットは30〜50代の経済的に余裕のある大人な男性。
http://event.rakuten.co.jp/gooda/
ジャンルはファッションに限らず、インテリア、スポーツ、時計、グルメ、家電にホビーと、男性が好むものをひと通りカバーしてる感じです。
隔月発行のペースで、毎月有名タレントを起用し、表紙まで作成しています。そのクオリティは一般の雑誌レベル。
読みたいコンテンツをクリックすれば、そのコンテンツにジャンプ。
そしてコンテンツ内で気になる商品があれば、そのまま楽天市場内の商品詳細ページに推移することも出来ます。
雑誌という「読み物」としてのエンターテイメント性と、ネットショッピングの機動力をインタラクティブに作用した、新世代のコンテンツだと思います。
更に、雑誌を開いて読み進めるときの、あのワクワク感に、ネットサーフィンのあの気軽さをハイブリッドさせた全く新しいユーザー体験。
加えて旬なタレントの起用による話題性、信用性は抜群。
シチュエーションを想像させる、モデルを起用した写真や、商品のブツ撮り写真、そこに添えられたテキストのクオリティもバッチリです。
毎号表紙も用意されているので、そのまま本屋さんに並んでいても全くおかしくないレベルですね。
続いてGOETHEを見てみます。
GOETHEはココがすごい
WEB GOETHE(ウェブゲーテ)は、日本経済新聞社「NIKKEI NET」と、幻冬舎の「24時間仕事バカ」がコンセプトの男性誌「GOETHE」が共同運営する、働くオトコがターゲットのウェブマガジン。
http://goethe.nikkei.co.jp/
楽天のGOODAがウェブから紙雑誌的なアプローチを仕掛けているのに対し、
GOETHEは新聞社×出版社という紙土台同士のコラボレーションからウェブにアプローチを仕掛けるという、
全く逆の性質をそれぞれ持っているのが面白いですね。
GOETHEも、GOODA同様ハイエンドファッションを中心に、
著名人インタビュー記事を展開する”ヒューマン”というジャンルや、グルメ、ヘルス&ビューティー、スポーツ、ビジネスアイテム、リビング、ラブ、カルチャー&エンタメと、
WORK HARD, PLAY HARD!な大人の男性を楽しませる記事コンテンツがかなり充実しています。
こちらもGOODAと同じく、タレントや各界の著名人を招いたインタビュー・特集記事や、
当たり前ですが雑誌クオリティの写真、文章が光るウェブマガジン。
全面Flashで、「紙面をサーフィンする」感覚を味わえるGOODAとは異なり、
GOETHEはごく一般的なHTMLのウェブサイトのスタイルです。
もうお気づきかと思いますが、「SEOとして優れているのはどちらか?」と言われれば、「テキスト中心」のGOETHEですよね。
これを検証する前に、もう1つ、GOODAとGOETHEの違いについて触れてみたいと思います。
ネット通販と雑誌の延長線上で
楽天のGOODAには、明確なコンバージョンが存在します。
それは楽天内の商品を「売る」ということ。
プレスリリースによれば、「楽天市場で取り扱いのある商品に限定することなく、ハイセンスな商品やライフスタイルを提案する内容」であるということですが、基本的には商品の紹介が目的であることがわかります。
記事のテーマに沿った楽天内のショップの紹介なども見受けれられます。
これは、GOODAの立ち位置が、楽天というネット通販の延長線上に存在するためですね。
対してGOETHEは、完全に雑誌の延長線上に存在します。
どこかの通販ページへのリンクが存在するわけではありません。本当の雑誌のように、着用アイテムの価格とメーカー・ブランド、その問い合わせ先が記載されているのみです。
また、商品の紹介を目的としたコンテンツだけでなく、飲食店の紹介やハウツー的な記事、コラムなど、GOODAとは全く異なる目的を持っていることがわかります。
別にどちらの方が良い、とかっていう話ではないです。GOODAのように、優れた商品を魅力的に紹介する雑誌なんかも、数多く存在しますよね。
GOODAのコンテンツはインデックスされない
さて話題を戻しますが、GOODAの記事ページはJavaScriptで生成されています。
Googleによれば、JavaScriptやajaxで生成されたコンテンツ内容を徐々に理解できるようになっている、とのことですが、やはり完全ではありません。
ここで実際に、GOODAの記事が検索エンジンに正しく読み込まれ、インデックスしているのかどうかを検証してみましょう。
コンテンツが検索エンジンにインデックスされているかを一発で調べる方法
調べ方はチョー簡単!
コンテンツ記事内の文書をひとつかみし、Yahooにぶちこんで検索するだけ!
Googleでは長文を検索にかけるとエラーになってしまうため、Yahooを利用するんです。
コンテンツが正しく読み込まれ、インデックスされていれば、
このようにちゃんとそのサイトが引っかかるはず。
では、この方法でGOODAの記事を 調べてみます。
この記事の文章をコピーして、
Yahooにペーストして検索をしてみます。
すると・・・
OH!! やっぱりひっかからないよ!
つまり、GOODAのコンテンツ内の文章が検索エンジンに読まれていないということですね。
サイト構造もうまくインデックスされていない
GOODAは、
event.rakuten.co.jp/ をトップとし、
event.rakuten.co.jp/gooda からコンテンツが展開されていきます。
サブドメインの下層ディレクトリですからね。
gooda.comみたいな独自ドメインとか、gooda.rakuten.co.jpみたいなサブドメインにしてもよかった気が。
この階層以下で、/fashion/や/sports/というように各カテゴリごとにディレクトリを分けているわけですが、
なんと「site:」で調べてみると、各カテゴリの下層が存在していません。
つまりサイトの構造が、
TOP→/gooda/→/各カテゴリ/
で止まってしまっているということです。
あまり、SEOフレンドリーな設計とは言えないですね。
対してGOETHEはFlashやJavascriptでなく、ごくごく一般的なHTMLでの設計。
実際に記事内のテキストをひとつかみし、
同様にYahooで検索してみます。すると・・・
はい。ちゃんと記事ページがヒットしましたね。
GOETHEのコンテンツが問題なく検索エンジンに読まれている証です。
「雑誌発想」だから、自然に生まれるロングテール
さらにGOETHEは「雑誌発想」だからこそ繰り広げられる幅広いボキャブラリーが魅力。
「売り売り発想」では現れてこないような様々な共起語、類語、同義語が登場し、テキスト内容の幅を広げてくれます。
結果として、ロングテールが拾われやすくなってくるのです。
先日取り上げたnanapi.jpさんがロングテールキーワードを意図的に記事に含ませているのに対し、GOETHEは「豊富な語彙表現でコンテンツ制作をした結果として、ロングテールが付いてきた」という感じだと想像ができます。まさにロングテールの自然児!
さまざまな表現や徹底した取材力、かならずしも商品を売ることを着地点としないからこそ生み出されるコンテンツによって、
様々なロングテールが検索エンジンに読まれ、
「読み物」としての本質を抑え、ユーザーにもしっかり読まれるという好循環。
GOODAを始め、多くのサイトのコンテンツが”商品紹介に色をつけたもの”にとどまってしまうのに対し、
GOETHEのコンテンツは「雑誌発想」。つまり、ブランドや商品が創造する「価値感」や「アイデンティティ」を、読者と共感するという次元の発想です。
GOETHEのコンテンツには、「タイトルにキーワードを含ませる」とか、もっと徹底したロングテールキーワードの意識のようなしたたかさはありません。(もっとも、それはGOETHEには必要ないし、そこまで意識していないでしょう)
が、この「商品の向こう側にある」価値を提供するというスタンスは、コンテンツ制作おいて大いに理解しておくべきポイントではないでしょうか。
そんなコンテンツのほうが、ユーザーが共感しやすく、お目当ての「コンバージョン」にも自然に誘導できることは、言うまでもありません。
さて、主題から逸れてしまうのであまり言及はしませんが、
GOODAにはOGPが実装されていませんね。
OGPとは、Facebookなどで共有された際にタイムラインでうまく表示させるためのメタタグです。
旬なタレントをハイセンスにカバーするGOODAはソーシャルメディアとの親和性も高いはずなのに、ちょっと勿体ないですね。
まとめ
今回はGOODAとGOETHEという、全く異なる2つのウェブマガジンを通じて、検索エンジンとユーザーに読まれるコンテンツは何か、ということを考えてみました。
大前提として、コンテンツ内容が正しくインデックスされること、適切なサイト構造になっていること。これは当たり前のことですね。
そして、「売り売り発想」から「雑誌発想」つまりモノや情報の創造する価値や意義を共感させる、という内容のコンテンツ作りを心がけるということですね。
これができているウェブサイト、ECサイトはなかなか少ないと思います。
あなたも、「編集者」になったつもりで、「読者にウケる記事(コンテンツ)」について、ひとつ考えてみてください。