「価値のあるコンテンツって結局何なの論争」に一旦区切りを付けたい
2015/05/25カテゴリー:コンテンツマーケティング
Web上の情報のすべてを手に入れた男・Google。彼の放った一言は、人々をコンテンツマーケティングへかり立てた。
「Webでの成功か?欲しけりゃくれてやる。”良質なコンテンツ“だ!Webのすべてをそこへ置いてきた!!」
男たちは「良質なコンテンツ」を目指し、夢を追い続ける。
世はまさに、大コンテンツ時代!!
というわけでですね、Webマーケティング界隈では右を見ても左を見ても「今はコンテンツ・イズ・キングだ」「価値のあるコンテンツを発信すれば評価される」という事を言っているわけですけれども、
では果たして「価値のあるコンテンツ」とか「良質なコンテンツ」っていうのは何を持ってさし測るべきなのか、については未だ議論が続くところであります。
確かに「価値あるコンテンツ」が重要であることは、誰の目から見ても疑いようのない事実であって、これを認め、本質的に理解しなければWebマーケティングやコンテンツマーケティングでの成功を掴むことはできません。
かと言って、コンスタントに「価値あるコンテンツ」をリリースし続けるのは簡単なことではないですし、ましてや「このコンテンツは”価値”があるのか?」と測定するとなるともっと難しい事です。
ある人は「コンテンツページのPV数、滞在時間、CVRに着目すべきだ」と言い、
またある人は「いやいや、SNS上でのエンゲージメントレベルが重要なんだ」と言います。
しかし、結局「価値」というものは受け手の主観に依存するものですから、何らかの数値やレベルをもって測定する事は出来ないのではないかと僕は考えています。
これはコンテンツでなくとも、映画、音楽、本、お笑い、食べ物、ファッション、なんでもそうです。「良い/悪い」「面白い/つまらない」「カッコいい/ダサい」「泣ける/泣けない」「美味しい/マズい」みたいな感覚って人によって様々なので、一律的に評価する事はできないはずです。
このように、「価値ある」とか「良質」の捉え方は人それぞれなので、こういったものである、と定義付けることはなかなか難しいでしょう。
「ユーザーの役に立つ」とか「誰かに教えたくなる」という基準で考えるやり方もありますし、確かにその通りなのですが、それでもやはり主観的すぎてしまい、フレームワークとして機能しきらない面があります。
逆説的に考える
では逆に、
「価値あるコンテンツ」は「価値の無いコンテンツ」の対である
と考えれば、ちょっとスッキリします。
つまり、「価値の無いコンテンツ」の定義にあてはまらないものは、とりあえず全て「価値あるコンテンツ」と呼べるのでは、むしろ一旦呼ばせて下さい、という考え方です。
有難い事に、「価値の無いコンテンツ」とはどういうものなのか、Googleは明確に提示してくれています。
価値のない質の低いコンテンツを含むページには、以下のものがあります。
- 自動生成されたコンテンツ
- 内容の薄いアフィリエイト ページ
- 他のソースからのコンテンツ(例: 無断複製されたコンテンツ、低品質のゲストブログ記事)
- 誘導ページ
この4点のどれかの該当してしまうと、「価値あるコンテンツ」ではなくなってしまいます。
1つずつザックリ見ていきましょう。
自動生成されたコンテンツ
要は人間の手が入っていないページです。
自動生成コンテンツの例としては、次のようなものが挙げられます:
- 自動化されたツールで翻訳されたテキストが人間によるチェックや編集を経ず公開されたもの
- マルコフ連鎖などの自動化されたプロセスを通じて生成されたテキスト
- 自動化された類義語生成や難読化の手法を使用して生成されたテキスト
- Atom/RSS フィードや検索結果からの無断複製によって生成されたテキスト
- 複数のウェブページからのコンテンツに十分な付加価値を加えることなくそれらをつなぎ合わせたり組み合わせたりしたもの
内容の薄いアフィリエイト ページ
海外SEO情報ブログの鈴木謙一さんの解説がわかりやすいです:
ほかのサイトからコピーしただけのコンテンツや、あるいは十分でなかったり信頼できなかったりする情報を提供しているサイト、特にアフィリエイトサイトへの手動対策(ペナルティ)が増えています。
下の3つは、アフィリエイトサイトであっても必ず達成すべきことです。
- あなたのサイトでしか得られない価値のあるコンテンツを提供する — オリジナルかつ付加価値のあるコンテンツ
- 信頼できる情報を提供する — 特に金融系や医療系、美容系、生活・人生に大きくかかわること
- 満足のいく体験を提供する — サイトの使いやすさや高速化、マルチスクリーン対応なども含む、このサイト・ページに訪問して良かったとユーザーに感じさせる
Google、アフィリエイトサイトに警告 〜 付加価値がない、内容が薄いコンテンツには手動で対策する | 海外SEO情報ブログ
つまるところ、やはり「人の手が介入しているかどうか」がポイントになってきそうです。
他のソースからのコンテンツ
他のサイトからネタをパクってきただけのコンテンツです。
最近では「パクリ系バイラルメディア」の実態が明るみに出され、ネットで大炎上しました。
「バイラルメディア」っていってもわからない人がいるかと思うが、動物動画とか、面白動画とか、面白い記事(ガセかどうかは置いといて)をYouTubeとかTwitterで見つけてきて、それを表示させて静止画像とどうでもいい説明をちょこっと書き加えて「引用」だけつけてソーシャルでバズらせるヤツ。FacebookとかTwitterのでかいボタンが付いてるのですぐわかる。
広告で稼ぐモデルなのだが、自分はナニも生産せず、人の褌で相撲を取って儲けるので世間の反感を食ってるのである。従来、ロケットニュースやまとめサイトみたいなのもあったが、いま梅雨明け後の蚊みたいにめちゃくちゃに湧いてるのはそれよりもっと手を掛けないタイプのもので、パクってきて並べるだけ。ネットに慣れてない人によってこれが面白いようにシェアされるのだ。
うざすぎパクリ系バイラルメディアが爆増している理由と駆逐する方法について | More Access! More Fun!
当然モラル的にもアウトでしょうし、Googleからしても二次生成物が評価されてしまうのは避けたい事態です。
誘導ページ
誘導ページは、「Doorway Page(ドアウェイページ)」とも言われます。
誘導ページは、特定の検索キーワードで検索結果の上位に表示されることを目的に作成されたサイトまたはページです。誘導ページにより、類似する複数のページが検索結果ページに表示され、どの検索結果からも同じ内容のサイトやページにユーザーが誘導されるため、ユーザーの利便性が妨げられることになります。また誘導ページは、最終的なアクセス先となるサイトやページに比べ有用性の低い中間ページにユーザーを誘導することもあります。
誘導ページの例としては、次のようなものが挙げられます。
- 特定の地域や都市を対象としたドメイン名やページを複数持ち、それらのドメインから 1 つのページにユーザーを誘導するもの
- サイト内の有用なコンテンツや関連性の高いコンテンツにユーザーを案内することを目的として生成されたページ
- サイト内における階層が明確に定義されていないため構造としては検索結果の一覧に近い、内容が類似する複数のページ
誘導ページの作成は、一世代前のSEO業者が最も得意とするところで、
- 誘導ページからのアンカーテキストは散らした方がいい
- 誘導ページのIPアドレスは分散させた方がいい
- 誘導ページの下にさらに誘導ページを貼り付け、ピラミッド構造にするといい
- 誘導ページかどうかはGoogleスタッフの目視になるから、ひと目でわかりにくいようデザインをこだわった方がいい
- 1つのドメインからの発リンクは1つに押さえた方がいい
- 無料ブログからの発リンクは効果がある/ない
のような、誰が言い出したのかよくわからない謎テクニックが数多く存在します。
そのページに「誘導」以外の目的がなければ、検索エンジン的には「価値がない=検索結果上位に表示する理由があまりない」という事になります。
あとは、価値を高めていくだけ
以上、Googleが定義する「価値のない質の低いコンテンツ」について改めて振り返りましたが、
この最低基準さえクリアすれば、少なくとも「NOT低品質コンテンツ」になるわけです。
価値があるかどうかについては人それぞれで、100人中1人が評価するのか、それとも100人が評価するのかという話になるので、あとはその率を高めるのか、それとも分母自体を増やしに行くのかという事になってきます。
これは「コンテンツの価値をどう向上するか」とか「打率をどう高めるか」という話になります。
ここにきてようやく、「自分たちのユーザー目線のコンテンツってどんなだろう」というPDCAを回せるようになります。
今回の考え方でいけば、「価値のあるコンテンツ」を作るのは本来簡単なはずです。このポイントを必要以上に気負ってしまい、のびのびと動けないのが1つの問題になっている場合もありそうです。
いきない「価値の高い、めちゃくちゃバズりまくるコンテンツ」を作ることは絶対にできません。
ですが、PDCAを回しながら価値を高めていく事は誰にだって出来ますし、とても楽しいプロセスになるでしょう。
少なくとも、あなたが自分で考え、手を動かして作ったコンテンツは誰かにとって必ず価値があるはずです。