インフォグラフィックと数字で見るコンテンツマーケティング
2015/02/16カテゴリー:コンテンツマーケティング
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マーケティングもエンタテインメントもテクノロジーも、あらゆるトレンドがアメリカから2年ほど遅れて日本に入ってくると言われています。という事はアメリカのシーンに注目していれば、近い将来の日本で取るべきアクションや流れが予測できるという事ですね。
今回は2014年、つまり1年前に行われたB2C企業のコンテンツマーケティングにおける調査をまとめてみました。この数字を見れば、今後の日本国内でのコンテンツマーケティングシーンの将来がいろいろと予測できます。
なお、調査データはすべて以下を参照しています。
2014 B2C Content Marketing Benchmarks,Budgets,and Trends
http://contentmarketinginstitute.com/wp-content/uploads/2013/10/B2C_Research_2014-withlinks.pdf
この記事の目次
- 1 2014年時点の全米でのBtoCコンテンツマーケティングについて
- 2 アメリカでは90%の企業がコンテンツマーケティングを始めている。
- 3 34%の企業がコンテンツマーケティングを効果的であると実感している。
- 4 コンテンツマーケティングで効果を出す企業、出せない企業の違いとは
- 5 39%のBtoC企業がドキュメントコンテンツを制作している。
- 6 67%のBtoC企業がコンテンツマーケティングにおける監督者を設けている。
- 7 72%のBtoC企業はコンテンツの制作ペースを上げている。
- 8 BtoC企業では平均12種類のコンテンツマーケティング手法を用いている。
- 9 BtoC企業のコンテンツマーケティングにおける目標のトップは「ブランド認知」である。
- 10 BtoC企業のコンテンツマーケティングにおける効果測定指標のトップは「トラフィック」である。
- 11 60%のBtoC企業がコンテンツマーケティングへの予算を増やすつもりである。
- 12 BtoC企業におけるコンテンツマーケティングへの投資割合は、広告予算のうち24%である。
- 13 51%の企業が、コンテンツ制作を内製だけで制作。
- 14 コンテンツマーケティングにおけるこれからの課題は「時間不足」である。
- 15 まとめ
2014年時点の全米でのBtoCコンテンツマーケティングについて
- 90%のBtoC企業がコンテンツマーケティングを取り入れている。前年は86%だった。
- 34%のB2C企業がコンテンツマーケティングに効果を感じていてる。前年は32%だった。
- 前年に比べ、「効果的だ」と感じるコンテンツマーケティング手法が増加した。
- BtoC企業はありとあらゆるソーシャルプラットフォームをより頻繁に活用するようになっている。
ほかに、60%の企業がコンテンツマーケティングに充てる予算を増加するつもりだと答えているようです。
アメリカでは90%の企業がコンテンツマーケティングを始めている。
前年度は86%がコンテンツマーケティングを導入したと回答しました。
驚くべき数値です。コンテンツマーケティングをやっていない方がもはやマイノリティになっています。
中でも中小企業ほど熱心にコンテンツマーケティングに取り組んでいる事がわかります。
34%の企業がコンテンツマーケティングを効果的であると実感している。
ちなみにBtoBでは、「効果的」と回答した割合は42%となるようです。
コンテンツマーケティングで効果を出す企業、出せない企業の違いとは
かなり効果的 と回答した企業 |
総平均 |
全く効果的ではない と回答した企業 |
|
ドキュメントコンテンツを制作した |
60% |
39% |
12% |
コンテンツマーケティングの監督を用意した |
85% |
67% |
50% |
活用した手法の数 |
14 |
12 |
9 |
活用したソーシャルプラットフォームの数 |
7 |
6 |
5 |
広告予算のうち、コンテンツマーケティングに投じた割合 |
32% |
24% |
10% |
低予算で取り組んだ |
36% |
48% |
67% |
知識のないまま取り組んだ |
14% |
33% |
66% |
当然ですが用意と予算と知識を持っている方が、成功しやすい事がわかります。
39%のBtoC企業がドキュメントコンテンツを制作している。
ドキュメントコンテンツとは、eBOOKやPDFファイルなど、ダウンロード型のコンテンツ。メールアドレスなどの入力を必須にすれば顧客情報収集に役立ちます。
一つ上の表でわかるように、コンテンツマーケティングに取り組むアメリカのBtoC企業のうち、効果を実感している企業の60%がドキュメントコンテンツを用意しています。(それに対し、効果を出せてない企業は12%)
ちなみに、大企業に比べ、中小企業のほうがドキュメントコンテンツの制作率は高いそうです。(46% vs. 41%)
67%のBtoC企業がコンテンツマーケティングにおける監督者を設けている。
こちらも、中小規模の企業の方が、大企業にくらべてしっかり監督者を用意する傾向にあるようです。(69% vs. 58%)
72%のBtoC企業はコンテンツの制作ペースを上げている。
コンテンツマーケティングに効果を見出している企業ほど、制作ペースを高めコンテンツを量産しまくっているようです。
BtoC企業では平均12種類のコンテンツマーケティング手法を用いている。
グラフを見ると、ソーシャルメディア、記事コンテンツ、メルマガが広く取り入れられているようです。バーチャル会議など珍しいものもありますね。
ちなみにBtoBだと、インフォグラフィックの数値が大きく伸びたそうです。(前年度33%→40%)
BtoC企業のコンテンツマーケティングにおける目標のトップは「ブランド認知」である。
コンテンツマーケティングで結果を出している企業ほど、「エンゲージメント(=ユーザーとのつながり)」を目標と定めている傾向があるようです。
ついつい「売上」をメインで考えてしまいがちですが、アメリカでは「ブランド認知」がトップの模様。
ちなみにソートリーダーシップとは平たく言えば「特定の分野・ジャンルで1番を目指すこと」で、
リードナーチャリングとは「見込み客との関係を構築し、徐々に購入を促すよう活動すること」です。
BtoC企業のコンテンツマーケティングにおける効果測定指標のトップは「トラフィック」である。
コンテンツマーケティングの効果測定における指標は何であるべきかは、長らく議論の対象となっており、おそらく今でも決着は付いていません。
やはりトラフィック(=サイトへのアクセス数)とするべきだ、エンゲージメントの観点からソーシャル上でのシェア数で考えろ、いやいや売上げに繋がっていなければ意味が無い、などなどどれも正しい意見であることは間違いありません。
「コンテンツマーケティング先進国」のアメリカでは、「トラフィック数」というのが現場の一番の意見であるようです。次いで「ソーシャルでのシェア」となり、そこに続くのが「サイトの滞在時間」。これは日本国内ではそこまで議論されない指標なのではないでしょうか。
個人的にもトラフィック数というのが最もわかりやすく、且つインパクトの有る指標だと思いますね。「コンテンツマーケティングを初めて、Facebookのイイネ!が2倍になりました!」よりも、「サイトのアクセス数が2倍になりました!」のほうが多方面が納得する成果と言えるのではないでしょうか。
60%のBtoC企業がコンテンツマーケティングへの予算を増やすつもりである。
予算を「増やす」と回答した割合は前年は55%だったそうです。業界全体でコンテンツマーケティングへの予算投資率が高まっている事がわかります。
逆に「減らす」と回答しているのが2%と極小数なのがポイントですね。
では、全体のマーケティング予算のうち、コンテンツマーケティングにはどれくらいの割合を充てているのでしょうか?
BtoC企業におけるコンテンツマーケティングへの投資割合は、広告予算のうち24%である。
平均すると24%というのがマジョリティのようです。分母がいくらくらいなのかにもよりますけどね。
他の広告と併用してコンテンツマーケティングを活用する企業が多いようです。
51%の企業が、コンテンツ制作を内製だけで制作。
「外注のみ」の割合が圧倒的に少ないですね。やはり質の高いコンテンツは内製化しなければ生み出されないでしょう。
中小企業では外注のみでコンテンツ制作を行なっている企業がわずか1%というのが驚きです。
ユーザーもリテラシーが急速に向上し、外注記事は簡単に見破られてしまうようになりました。
制作の作業部分をアウトソーシングするのはともかくとして、企画や、記事の執筆は自社でまかなわないと薄っぺらいコンテンツが上がってきてしまい、意味が無いですね。
コンテンツマーケティングにおけるこれからの課題は「時間不足」である。
コンテンツマーケティングにおける課題も変化しました。前年のトップは「予算不足」(52%)でしたが、2014年時点では「時間不足」に入れ替わっています。
これはアメリカではコンテンツマーケティングの価値が浸透し、様々な企業が精力的に予算を割り当てて取り組むように成った結果の現れといえるでしょう。
まとめ
日本国内の状況とずいぶんギャップがあるように思われましたが、2015年から2016年にかけて日本でもこれらの数字に近づいてくるのかと思われます。
アメリカではコンテンツマーケティングの普及率は2014年時点で既に90%。日本でも「2015年はコンテンツマーケティング元年」と言われているように、今年から爆発的に導入企業が増えるものと予想されます。
また、コンテンツマーケティングに注ぐ予算もほとんど全ての企業で減らすことはなく、半数以上が増額を予定しています。
そのため「予算不足」の課題緊急性は薄れ、「制作量を増やした」×「でも制作する時間が足りない」というジレンマに陥っているのです。
2015年の日本のコンテンツマーケティング業界は
日本国内ではこれまでもコンテンツマーケティングの取り組みは行われていましたが、今年はその浸透率がより拡大し、「SEO対策」「リスティング広告」に並ぶ集客手法となるでしょう。
資本力のある大企業だけがマス的に行うのでなく、中小企業層もがゲリラ的に取り組みを行うようになるはずです。
伴ってコンテンツマーケティングサービスを提供する業者が増加し、そこら中でセミナーが行われ、市場浸透率としては「導入期」から「成長期」に差し掛かるのが2015年だと思います。